JSTQB認定テスト技術者資格の概要や難易度について

JSTQB認定テスト技術者とは何か?

ソフトウェアテストについて調べると「JSTQB認定テスト技術者資格」「Foundation Level(FL)」という言葉をよく見かけるようになると思います。

「JSTQB認定テスト技術者資格」はソフトウェアテスト技術者の資格認定制度であり、ソフトウェアテストの高いスキルを保持していることを証明する資格になります。
また、「Foundation Level」は「JSTQB認定テスト技術者資格」のレベルの1つであり、ソフトウェア開発におけるテスト知識の基礎レベルのスキルの保有を示す資格になります。

本記事ではJSTQBの概要、学ぶ方法、学んだ知識が役立つ職種などについて掲載します。

【2022年7月1日更新】
2022年にCBT方式へ変更となったJSTQBの申込開始予定日が掲載されました!
詳しくは下記記事をご覧ください。

JSTQB申込予定日公開2022年のJSTQB認定テスト技術者資格の申込開始予定日がSQiPにて公開

JSTQBとは

JSTQBの公式サイトでは、下記のように説明されています。

JSTQBとは、日本におけるソフトウェアテスト技術者資格認定の運営組織で、 各国のテスト技術者認定組織が参加しているISTQB(International Software Testing Qualifications Board)の加盟組織として2005年4月に認定されています。

ISTQBの加盟組織の各国団体は資格および教育・訓練組織認証について相互認証を行っています。つまり、JSTQBが運営するソフトウェアテスト技術者資格は海外でも有効な資格となっています。

出典:JSTQB認定テスト技術者資格|JSTQB認定テスト技術者資格-JSTQBについて-

要約すると、ISTQB(※国際ソフトウェアテスト資格認定委員会)というソフトウェアテストに関する国際的な資格認証を行う団体があり、ISTQBに加盟している日本の団体がJSTQBであることが記載されています。

JSTQBは「Japan Software Testing Qualifications Board」の略称で、直訳すると「日本ソフトウェア試験資格委員会」となります。
JSTQBはISTQBの日本版となりますので、ISTQBのようにソフトウェアテストに関する資格および教育・訓練組織認証を行う団体になります。

本記事の2章で記載する「JSTQB認定テスト技術者資格」については、JSTQBがISTQBの資格試験を日本語に対応させたものになります。
そのため、JSTQBはISTQBの資格を日本版にして取得できる環境を整えている団体と考えても相違ないと思います。

JSTQB認定テスト技術者資格とは

JSTQBの公式サイトでは、下記のように説明されています。

業界全体で技術力を向上する手段の一つに、資格認定制度があります。我々JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)は、日本のソフトウェア技術者がテスト技術を向上させるきっかけとして、テスト技術者の資格認定制度を開始いたしました。現在は、毎年夏と冬にFoundation Levelの資格認定を行っております。

JSTQBのテスト技術者資格は、ISTQB(International Software Testing Qualifications Board)を通じて、アメリカやイギリス、ドイツなどのISTQB連携のテスト技術者資格と相互認証を行っています。

出典:JSTQB認定テスト技術者資格|JSTQB認定テスト技術者資格~ご挨拶~

要約すると、「JSTQB認定テスト技術者資格」はISTQB認定資格の日本版の資格となります。

海外で実績のあるテストの知識や技術を日本語で取得できる資格となりますので、日本国内だけでなく、海外でも有効な資格になります。

JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level(FL)とは

JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Levelは、JSTQBが認定している資格の一つになります。
JSTQB認定テスト技術者資格にはレベルがあり、Foundation Levelはソフトウェアテストの基礎知識を有することを示す資格となります。

JSTQBで取得可能な資格

JSTQB認定テスト技術者資格はISTQBが基となっていますが、ISTQBのすべてのレベルをJSTQBで受験することはできません。
2022年3月時点の情報ですが、JSTQBでは下記画像の赤枠内の範囲(認定テスター、自動車ソフトウェアテスト担当者、テストアナリスト、テストマネージャー)の資格試験を受けることができます。

JSTQBで受験可能な資格範囲

上図の通り、Foundation Levelの「認定テスター」はどのテスト手法にも共通するテスト技術者の基礎の資格となっています。

Foundation Levelの「認定テスター」は誰でも受験可能ですが、同じFoundation Levelの「自動車ソフトウェアテスト担当者」やAdvanced Levelの「テストアナリスト」「テストマネージャー」を受験する際には、下記の条件をクリアする必要がありますので、受験の際はご注意ください。

自動車ソフトウェアテスト担当者の受験資格

  1. JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level資格試験の合格者、または、JSTQB以外のFoundation Level資格試験の合格者

※出典:日科技連|Foundation Level試験/資格試験-JSTQB認定テスト技術者資格/日科技連|ソフトウェア品質|SQiP研究会

テストアナリストの受験資格

  1. JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level資格試験の合格者、または、JSTQB以外のFoundation Level資格試験の合格者
  2. 申し込み時点で業務経験3年以上(業務経歴申請書の提出が必要)

※出典:日科技連|Advanced Level試験/資格試験-JSTQB認定テスト技術者資格/日科技連|ソフトウェア品質|SQiP研究会

テストマネージャーの受験資格

  1. JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level資格試験の合格者、または、JSTQB以外のFoundation Level資格試験の合格者
  2. 申し込み時点で業務経験3年以上(業務経歴申請書の提出が必要)

※出典:日科技連|Advanced Level試験/資格試験-JSTQB認定テスト技術者資格/日科技連|ソフトウェア品質|SQiP研究会

ISTQBで取得可能な資格

JSTQBの基となっているISTQBでは3つのテスト手法(AGILE、CORE、SPECIALIST)と3つのレベル(Foundation Level、Advanced Level、Expert Level)に分けた各分野の資格試験を受けることができます。

AGILEとCOREにはAdvancedとExpertのレベルが存在しますが、SPECIALISTは個々の分野で個別にレベルが設定されています。
詳細はISTQB公式サイトの図を引用した下記の画像をご覧ください。

ISTQBのキャリアとレベル別の資格試験一覧

※2022年3月時点の図を引用しています。
※出典:International Software Testing Qualifications Board|Improve & Certify your skills

JSTQB認定テスト技術者資格で得られる知識や技術

JSTQB認定テスト技術者資格を取得することで、下記のような知識や技術が身に付きます。

  • ソフトウェアテストに関する知識を体系的に学び、理解することができる。
  • ソフトウェアテストに関する知識がつき、テスト技術力が向上する。
  • 専門的な用語や用語の定義を理解して正しく使えるようになる。

どれも大事な事なのですが、特に「専門的な用語や用語の定義を理解して正しく使えるようになる」という点については、テスト技術者としての成長を考えた際には大きなメリットになります

例えば、大規模なシステムの業務に携わった際には関わる人が多くなりますが、関わる人が多くなるほどテスト技術者のアウトプットする能力、特に「伝える技術」が非常に重要な能力になります

用語を正しく使って正確な情報を伝えられるか否かは作業効率に大きな影響を与えますので、スキルアップを考える際には「JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level」の知識は必須になります。

※Foundation Levelで身に付く具体的な知識や技術について知りたい方は公式サイトの「FLシラバス概要」をご確認ください。
リンク先:JSTQB認定テスト技術者資格-シラバス(学習事項)・用語集-

JSTQB認定テスト技術者資格の勉強方法

JSTQB認定テスト技術者資格の勉強方法には、下記のような方法があります。

Foundation Levelの「認定テスター」に関しては、JSTQB公認書籍『ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第4版 シラバス2018対応』を読み込み、有志が公開している問題集を解くような流れが勉強方法としては良いと思います。

公式サイトのシラバスを読むことも大事なのですが、具体的な説明が省かれていて理解が難しいので、しっかり内容を理解するためにも教科書の読み込みが必要になります。

2022年3月時点では、Foundation Levelの「認定テスター」に関してはJSTQB公認の書籍が存在しますが、同じFoundation Levelの「自動車ソフトウェアテスト担当者」やAdvanced Levelの「テストアナリスト」「テストマネージャー」はJSTQB公認の書籍が存在しません。

そのため、Foundation Levelの「認定テスター」以外は公式サイトのシラバスを読んだり、過去問の解説セミナーの資料や動画を見ることが勉強方法になります。
過去問の解説セミナーに関する資料や動画は、公式のページから最新の情報をご覧ください。

リンク先:JSTQB認定テスト技術者資格-シラバス(学習事項)・用語集-

JSTQB認定テスト技術者資格の難易度

JSTQB認定テスト技術者資格の各レベルの合格率は下記のようになっています。

Foundation Level(認定テスター)の合格率

2021年8月21日までの結果を反映した合格率は下記になります。

受験者:35,386名
合格者:20,089名
合格率:56%程度

※受験者、合格者数値の出典:JSTQB認定テスト技術者資格|JSTQB認定テスト技術者資格-JSTQB認定テスト技術者資格試験実施要領-

合格率が50%以上と取得しやすい資格であることが考えられます。
ネット上の記事を見ると「JSTQB公認の教科書を読み込めば大丈夫」という意見が多くみられますので、教科書と有志の問題集を解いて対策をしていれば、合格ラインの知識は取得できそうです。

過去のFoundation Level(認定テスター)の試験概要は下記の通りとなります。

問題形式選択問題
出題数40問
合格ライン65%(26問以上正解)
試験時間60分
出題範囲最新のシラバスに準拠
実施時期2月、8月の年2回
試験料22,000円(税込)

※出典:大西 建児,佐々木大西 建児,佐々木 方規,鈴木 三紀夫,中野 直樹,福田 里奈,町田 欣史,湯本 剛,吉澤 智美. 「エラー、欠陥、および故障」.『ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第4版 シラバス2018対応』.翔泳社,第4版 (2019/9/17),viii

Foundation Level(自動車ソフトウェアテスト担当者)の合格率

Foundation Level(自動車ソフトウェアテスト担当者)の試験は2021年3月22日から開始となり、第1回の試験合格者の発表も済んでいますが、まだ正確な受験者数は公表されていません。
試験会場の定員は東京50名、名古屋50名の計100名となっていますので、100名全員が受験したことを仮定すると下記のような合格率となります。

受験者:100名
合格者:63名
合格率:63%

合格率が63%と比較的取得しやすい資格であることが考えられますが、本試験は第1回目の結果ということもあり、63%の合格率を単純な難易度と考えるのは危険です。

公式サイトの認定テスター、テストアナリスト、テストマネージャーの各回の合格率を見てもわかるように、回によって合格率は大きく変わります。

※参考リンク:JSTQB認定テスト技術者資格-JSTQB認定テスト技術者資格試験実施要領-

今回の63%という合格率が試験内容として甘かった結果であれば、次回以降の試験はより難しいものになると思いますので、受験の際は公式のシラバスをしっかりと読み込むことを推奨します。

Advanced Level(テストアナリスト)の合格率

2021年2月13日までの結果を反映した合格率は下記になります。

受験者:2148名
合格者:385名
合格率:17%程度

※受験者、合格者数値の出典:JSTQB認定テスト技術者資格|JSTQB認定テスト技術者資格-JSTQB認定テスト技術者資格試験実施要領-

Advanced Level(テストアナリスト)は2016年から試験が受けられるようになり、2022年3月までに開催された計6回分の受験結果が公表されていますが、合格率は17%とFoundation Levelと比べると非常に低いです。

試験の難易度が高く、試験勉強が難しいため合格率が低くなっていることが考えられます。

Advanced Level(テストマネージャー)の合格率

2021年8月21日までの結果を反映した合格率は下記になります。

受験者:4047名
合格者:717名
合格率:17%程度

※受験者、合格者数値の出典:JSTQB認定テスト技術者資格|JSTQB認定テスト技術者資格-JSTQB認定テスト技術者資格試験実施要領-

Advanced Level(テストマネージャー)は2010年から試験が受けられるようになり、2022年3月までに開催された計11回分の受験結果が公表されていますが、合格率17%とこちらもFoundation Levelと比べると合格率が非常に低いです。

Advanced Level(テストアナリスト)と同様で、試験勉強の環境が整っていないことが合格率の低さにも表れていることが考えられます。

JSTQB認定テスト技術者資格の知識が役立つ職種

資格で得られた知識や技術が活かせる職種には下記のようなものがあります。

  • テスト担当者
  • テストアナリスト
  • テストエンジニア
  • テストコンサルタント
  • ソフトウェア開発者
  • QAエンジニア
  • デバッガー
  • テストマネージャー
  • ソフトウェア開発マネージャー
  • プロダクトマネージャー
  • 品質管理

ざっと職種を並べましたが、ソフトウェア開発においてテストを行わない開発は基本的に無いため、JSTQB認定テスト技術者資格はソフトウェア開発に関わる全ての職種に対して有効な資格であることが考えられます。

実際に就職系・転職系サイトで募集案件や関連する業務を検索してみると、資格を活かせる会社が多々あることがわかります。

「JSTQB」という単語自体はまだメジャーな言葉ではありませんが、ソフトウェア開発における品質向上や業務効率化を考えた際に辿り着く1つと指標となっていることは間違いありません。

今後も加速するソフトウェア開発の需要に合わせて、正しいテストができる知識や技術の必要性は年々増していくことが考えられます。
そのため、正しいテストの知識を有していることを示す「JSTQB認定テスト技術者資格」は、ソフトウェア開発に関わる全ての人が取得していおきたい資格の一つといっても過言ではない資格になります。

まとめ

本記事の内容をまとめると下記のようになります。

  • 「JSTQB」はISTQBに加盟している日本の団体のこと
  • 「JSTQB認定テスト技術者資格」はISTQB認定資格の日本版の資格のこと
  • 「Foundation Level」はソフトウェアテストの基礎知識を有することを示す資格である
  • JSTQBで取得できる資格は2022年3月時点で4つある
  • JSTQB認定テスト技術者資格はソフトウェア開発に関わる全ての職種に対して有効な資格である

JSTQB認定テスト技術者資格で得られる知識は、ソフトウェアテストの技術者であれば身につけておきたい知識となりますので、スキルアップを目指す場合はぜひ取得しておきたいですね。